| Doraemon./作品解説 | ||
| Vol.11 コミックス30巻/フエール銀行 銀行の仕組みとはいかなる物か。コレを読者にたのしく解説する、教育の上で素晴らしい話です。 しかし銀行となると、歩合の数値が細かく、小数点のパーセントなんかも出てくるので、忠実な再現は難しい。 そこにひみつ道具の「ひみつ」が良く効きます。 フエール銀行が取り扱う数値は「一時間」「1割」「2割」「5割」。簡素この上ない。 「準バイバイン」的なフエール銀行の効果は垂涎モノ。堪能あれ。 こづかいを増やす為にドラえもんが取り出したのが主役、「フエール銀行」である。 一時間で一割の複利が積もっていくと言う魔法の銀行。10円を元金に預けると、一週間でなんと9000万円になるという。(正確には89943774円也。) 当然こんなモノを何故ドラえもんが使ってなかったかという疑問が出る懸念があるが、コレは専ら銀行の説明用に、姑息的と言ってはアレかも知れないが、一話限りの「銀行コーナー」であって、「分かりやすさ」向上の為、仕方なく少々ラジカルな設定になっただけのことである。と言えば多分大丈夫でしょう。 フエール銀行のユーザー希望でやって来たスネ夫、ジャイアンは「一時間5割」という反則的な歩合の「一年定期」に全こづかいを注ぎ込む。「一時間5割」。なんだこれは。こんなのがアリならスネ夫の膨大であると思われる元金なんか余り意味が無い。なにせ、元金を1.5で8760回まわした計算である。10円だろうが何万円だろうが、数日の差である。 電卓を使ってみる・・・。 「10円を一年定期。」なんの張り合いも無い言葉であるが、フエール式で代入すると、 10*1.58760 イコール 36260127・・・・・・・・・・・・・・・・(1543ケタ)。 ・・・・・・・・・!? 数字が1543個並ぶという金。どうひねっても莫大としか言えない金。ドル為替にした所で1541ケタである。世界経済の終焉である。極端すぎて、計算結果が疑わしいですが、今の自前の計算力では確かめる術が無いです。 しかし、放物線状(たぶん)に預金が増えていくのを碌に見届けないまま、貸し出し窓口に走ったのび太。銀行の良さばかりを教えるわけにもいかぬと思ったのだろうか、「輸入物のプラモ」がターニングポイントになる。 利子は一時間に2割。この恐ろしい暴利を前にして、「今金を持っていない故、取られる事は無い」と考えたのび太。この後当然泣きを見ることになる。今回のように5000円借りた場合、一時間後にはもう1000円の複利が持ってかれる。計算してみると、2日もせずに野比家は吹っ飛ぶという脅威。 銀行の一長一短。しかし、どっちに転がるにしろ、坂が急勾配過ぎるので、是非使ってみたい気が起こってやまない。なんだ、コマが無くてもちゃんと解説できるじゃないか。 Vol.12 コミックス40巻/恐怖のタタリチンキ ひみつ道具は遂に「祟り」を扱うまでにいたる。「タタリチンキ」。生霊、死霊を本体から搾り出す液体で、劈頭ではジャイアンが虐めていたネコに使用されていた。バケネコを見てないのにうなされていたジャイアン(霊感でもあるのだろうか)は、果たしてバケネコのシルエットを拝む。悲鳴を聞いたかあちゃんが来て、やりとりがあるのだが、「ばけネコ?ばかばかしい!」と、息子の真摯な報告に対し、全く信じる気配なし。 さらにジャイアンが「ほんとにとびかかってきた」と頑張って説得するも、次のコマで 聞く耳持たずとはこの事か。まあ、元々こんな信憑性の匂いすら感じないような話を、大人が聞くはずも無いのだが、「わらって済ます」というやり方が出てこんのか。 (で、もう一回ばけネコが出てきて、悲鳴をあげるジャイアンなのだが、この後のかあちゃんのアクションが必見モノ。それも含めて、始め1ページ半は是非見ていただきたい。) 翌日、昨日の「W恐怖」体験を話すジャイアンに、スネ夫が軽く「ねぼけたんだよ」とかあちゃんのリバイバルをかまし、リアリストぶりを呈してくれたものの、予想通りジャイアンが一撃。 ジャイアンはドラえもんに対策を聞き、ネコを諌める。よく見てください。尾頭付きの魚を皿にまで載せて供え、土下座!・・・ジャイアンとしては、ばけネコ体験も去る事ながら、目的の第一義は かあちゃんブチギレ という事態を最も恐れている所だから、これ位の大盤振る舞いは我慢できるわけですか。 のび太のマンガも祟ることになる。なんの仕打ちをされたかと言えば、 「ママに先生から電話「もっと勉強させなさい」⇒ママ練策⇒マンガ焼却」 という非常に安直な式に転がされ、焼かれてしまう。 出ました。「本のおばけ」。なかなか珍しいタイプです。さしずめ、珍魅魍魎といった所ですか。 最後の1ページ。自分としては凄い印象に残っている1ページがどんじりに控えている。 なんとのび太が自ら生霊を出し、私怨を名目に先生を祟りにいかせるというページである。 いいペースなので、先生もしっかりと祟られるかと思えば、完全に弾き返す先生。流石は「大人」の第一人者、先生。絶大な権力に相応した精神力である。 そして、
やりました!先生!! 夜な夜な自分の家に現れた教え子を、方向違いの叱責で打ち据えた上に、庭に立たせる。 無茶苦茶である。かあちゃん以上かもしれません。 あなたは自分を祟りにきた霊を、庭に立たせることが出来ますか? Vol.13 コミックス15巻/階級ワッペン どこにでもある、上下関係というものを捻じ曲げてしまうという面白い話です。 その若朽な性格からか、いつも下っ端のポジションにいるのび太が偉くなるという要素と、 いつも威張り散らすママやジャイアンを貶めるという要素は、幼心には快哉、爽快だった。 そんな話の一つが、この「階級ワッペン」です。 這般のとおり、のび太は自分自身の地位の低さに不満が鬱積していた。 そこへドラえもんのポケットから出たのが、「階級ワッペン」一式であります。 これのモデルは旧日本陸軍の階級らしい。分かりやすいからだろうか。 うるさく言ってしまえば、元帥が居ないですが。まあ、「大将」なんてのは、「1番」なんて言霊が漂ってそうだから。 そっちのほうが分かりやすいかもしれないですね。(ドイツなんかには「上級大将」なんてのもありましたが・・・。) 勿論のび太が大将。早速パパとママを二等兵にし、下命。 何度見ても気持ちのいいコマでした。のび太のこの「大将」顔がまた味があります。 で、のび太の次なる下命は、「アンパン10個、マンガ10冊」。やっぱり、のび太ですね。 ジャイアン⇒(ビリッカスの)二等兵 スネ夫⇒(ジャイアンより憎んでないのだろうか)一等兵 静香⇒(分かりやすい)中将 他二人⇒二等兵 他⇒恐らく、下々の位 ジャイアンとスネ夫とのやり取りで、ジャイアンが借りた物を返すという 惑星直列並みの珍しい怪現象が起こり出しています。ワッペンに気付いた二人はのび太に襲い掛かろうとするも 町内を五十周。 「そうだ、きみたちにもばかにされたことがあったぞ。」 ![]() 町内を五十周。 「こんなにいばったのは生まれてはじめてだもの」 ・・・人間権力を持てば、多かれ少なかれ違う方向に走るモノです。 ですが、「町内を五十周」という刑の馬鹿馬鹿しさには笑いを抑えられません。 ややあって、 二等兵勝利!やりました!ジャイアン!! 見てください、この絶妙な表情、眼を!この発見に対しての喜びと、 もう、のび太への次なる行為、準備OK。といった、熱いたぎりを! で、そういうことで、そうなったという。めでたし。 Vol.14 コミックス15巻/どくさいスイッチ コミックスでは「階級ワッペン」の次のおはなし。 話の劈頭からいきなり18‐2という惨敗を喫したジャイアンズ(七回で)。 ジャイアンは、のび太のミスが原因で20点損したと、いまいましげに語りつけます。 以上をもって、 「20発なぐってやる」とバットで頭を殴打。 初っ端からこれだから、ジャイアンの悪名というものはなくし難いのだろうか。 ドラえもんはドラえもんで、言葉で一撃。 初っ端からこれだから、ドラえもんは「ところどころ冷めている」というイメージなのだろうか。 「ジャイアンさえいなければ」というささやかな願望をこぼしているのび太に、ドラえもんが出したのは「どくさいスイッチ」。スイッチを押すだけで消したいものを消滅させてしまうという恐ろしいスイッチです。 いいのかなあ、これ。「じゃまなものは消してしまえ。」という囁きはいささか問題アリだと思えますが・・・。 のび太も混迷しています。「人ひとり消すというのは・・・・・、おそろしいことだ。」と尤もな考え。 だが時間は無かった。まだ迷っているのび太の脳天に突如バットが「ズガン」と一発、振り下ろされます。 「なぐりのこし7発」の執行にやって来たジャイアン。 「ひと〜つ ふた〜つ。」 悪質・・・。カウントしています。表情といい、台詞といい、完全に楽しんでます。野球の結果など最早どうでもいい様子で、のび太バッティングをエンジョイ。そしてのび太、余程命に危機を感じたのか、遂にスイッチを押す。 消滅。(冗談抜きで) 一丁あがり。くわえて、存在、人の記憶やなんやも何もかも消え去り、元々いなかった事になってしまう。のび太も感じた事であるが、恐ろしい。殺害以上の事をやらかした感覚というのは、物凄く恐ろしい事だろう。証拠も無いことだから、罪悪感も増して強烈だと思う。そんなところへ (代わりの)監督のスネ夫が一撃。やはりのび太に一方的に責任がある試合だったようです。 ジャイアン、スネ夫、ドラえもんにまで「へたくそ」「へま」と言われたのび太。一体何をやらかしたんだろう? 既に15発以上ジャイアンに殴られたのに、改めて「バットで20発」。余程の重罪だったんだろうなあ。 で、のび太、スネ夫を即消し。 どうやらとことんのび太が悪かった試合だったようです。 バットを握り締めてつかつかと歩み寄る3人。これはのび太でなくても怖い。 ジャイアンは「合計20点、お前のために損した」 スネ夫は「おめえのせいで負けたんだ!」 チームメイトにさえ「負けたのはきみのせいだぞ。」 のび太「なんでこんな目にあわなきゃならないんだ。」 ドラえもん「そりゃやはり、きみがへたくそだからさ。」 こんなに言われているのび太の野球を、一度は見てみたい。打率1分(1%)という低さは頷けるかも。 二人を消去したのび太は、さして後悔してない様子で、消した理由が「かっとなるとつい」で、 感想は「しんけいががくたびれちゃうよ」という軽々しさ。次のコマで寝てるところまで見ると、のび太の物凄い前向きっぷりが知れる。何年も付き合っていた友を消去しておいて、何を顧みようともしない男だとは意外だった。まあ、本当のところはドラえもんの道具中毒で、現実が受け入れ難い所にあるのだろう。 のび太の性格ってどういえば説明がつくだろうか。人の心は推し量れない。 「ジャイアンがどこかへ行ってくれないか」というささやかな訴願だったのに、無茶苦茶なものを与えたドラえもん。「独裁者を懲らしめる」ための道具で、存在が消滅したのはフェイクな訳だが、こんなキツイ現象を小学生が目の当たりで拝めば、精神的に傷を残さないだろうか。あんなのび太だったから良かったものを。 Vol.15 コミックス11巻/名刀[電光丸] 名刀「電光丸」。 この名作をどれくらいの人が知っているだろうか。 僕はこの「電光丸」はかなり好きなんですが、皆さんはどうでしょうか。 「刀」からやっぱり刃傷沙汰を思わせられる事ですが、血は最初の佐々木小次郎がちょっぴり出した程度で、 まったく怖い話ではありません。だって電光丸そのものが見たとおりすっげえ安全仕様だから。口絵のカッコイイ刀がそのまま登場するかと思っててガッカリした人もいれば、バイオレンス描写カットが確定して安心した人もいる事でしょう。前者は残念ながら僕と同じです。 さて、最初の2ページはかの佐々木小次郎と宮本武蔵が巌流島(舟島)で決闘するシーンが藤子先生の「さすが」な描写で、一般の史実どおり武蔵が勝利するところまで鮮やか過ぎるほど描かれていますが、ハッと現実に帰ってみれば、語り部だったジャイアンが「おれの最もそんけいする人物だ。」と得意げな笑顔で語ります。そして 「それで剣道を習いはじめたの。」「そうなんだよ。」と続きますが、この「武蔵勝利」「そんけい」「そうなんだよ」のコマの流れが、えもいわれぬ面白さを醸し出していて、見て心地よい。ドラえもん全般にこれに似た「えもいわれぬ面白さ」が随所に見られます。そういった所も「ドラえもん」が好きになれるポイントの一つ。僕だけかなあ。 で、ジャイアンは結局のび太、スネ夫、その他に加えて静香まで呼びつけて剣道を習い始めたことを報告しただけなのだが、のび太が相手をしたくないからと逃げようとします。これに気付いたジャイアンは怒ります。 確かに人が話しているところから逃げるのはよくない。ヘタに動いたのび太の方が悪いだろう。「ジャイアンはすぐ誰かにためしたがる」なんて言ってますが、それは邪推というものだ。そもそものび太は・・・ えーーーー!?そ、それは余りに短絡的じゃないか!? いきなり決闘って。ものの順序を考えて申し込むべきだろう。 ジャイアンに決闘を申し込まれたのび太。これはピンチ。 本気のジャイアン相手にのび太が勝てようはずも無いのだ。 さらに悪い事に、ジャイアンがその手に持つのは木刀。 木刀持ってるジャイアンと闘うというのだから、のび太が震えるのも無理は無い。 「気分を壊したので決闘」。たまったもんじゃないが、 決闘に関して調べた折、なんと「決闘罪」なる罪が存在する事が判明した。 これ、ジャイアンはヤバイんじゃないかと思って確かめてみた。それによると
大変です。 つまり、ジャイアンは決闘を申し込んだ時点で現行犯らしく、さらに殺すとまではいかないが、のちのち 「腕のニ、三本へしおってやる!」と物騒な事をいっており、傷害にあたるので、まず逮捕は免れません。 立会人、証人、付添人についてはスネ夫、静香、安雄(?)、他にいればそれもそれにあたる。 立ち会った時点でやはり現行犯なのだが、本当にジャイアンがのび太の腕をへし折ったとすれば 決闘の結果で処罰が決まるので、非常に危ない。 決闘場所提供者は、ジャイアン以下特に地主に断って使用する子供は居ないので、それに当たる人は居ないとして、この「申し込まれた人」、すなわちのび太も罪に問われてるのは気の毒すぎる。 最悪の場合、ジャイアンは決闘により重大な傷害を起こし、現行犯で保護となり、 スネ夫、静香、ドラえもんも「決闘に関わった人」に該当する為、現行犯で保護となり、 のび太に至っては、腕をへし折られた上に「申し込まれた人」に該当して現行犯で保護。 否、もっと言うと、その場に警官が居合わせたとして、ジャイアンが決闘を申し込み、のび太が申し込まれ、スネ夫、静香が立会いに応じたその時点で4人まとめて現行犯で逮捕となり、武器を提供したドラえもんもタイミング次第で現行犯。全員「決闘罪」という100年以上前のわけのわからん刑法で罰せられるのだ。 (可能性は薄いものの、ジャイアンには名誉毀損罪、ドラえもんには銃刀法違反罪が付加される可能性アリ。) まあ、警察がマジになって子供の決闘を咎めるはずも無いし、未遂だから心配ないとします。 それで、ドラえもんは名刀「電光丸」を貸すのだが、のび太は 自信が無く(なんたって相手が「木刀持ってるジャイアン」だからね。) ドラえもんは武蔵と小次郎の決闘を参考にさせようと、タイムマシンで連れて行きます。 のび太が「こわいこわい。」と暴れた為、時代も場所もくるって江戸時代に到着しました。 1ページで二人をこの状態まで持っていく藤子先生の手腕には圧巻です。 突如現れたこの男に笑ったのも、僕だけじゃないはずです。 その後、この男率いる「悪いヤツら」と、修行中の若武者とのゴタゴタに巻き込まれ、 電光丸を持っていかれたのび太。これだけ待たせてあるので腕にとどまらないかもしれません。 こんな悲しい結末ですから、藤子先生がここに力を入れるのもわかります。 このリアルさからはジャイアンの悲壮な結末が否応無くにじみ出ています。 久々に更新しましたが、うまく出来ないなあ。 あんまりたくさん紹介するわけにもいかないですし、今後は別のコンテンツを 重きにおいて更新していきます。 「決闘罪」参考 決闘罪ニ関スル件 - Wikipedia |
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